台風が接近中!そんなとき気象予報士に何ができる?

ペーパー気象予報士のハルです。

このところニュースで台風18号が接近中という話題が出ているわけですが、さてそんなときに気象予報士は何ができるのでしょうか?

特に今回の台風は日本を西から東へ横切っていきそうなので、各地に点在している気象予報士の皆さんは「今度の台風、どうなるの?」と尋ねられたりしているのではないでしょうか。え、違う?

ウェザーニューズ社などの気象予報会社に勤務している場合は別として、気象予報と関係のない仕事をしている気象予報士にできることは・・・

ほとんどありません!(悲)

その辺の事情を今回は書いてみたいと思います。


天気予報はコンピューターと人間のコラボ!だけど

予測はコンピューターが計算する

まず天気予報の元となる気象現象の解析と未来予測はそもそも、現在までの観測値(各地の気温・風向など)に基づいてスーパーコンピュータで数値計算を繰り返すことで行います。

観測というのは、気象衛星から見た雲や水蒸気のデータ(どの地点にどのくらいの厚み・高度の雲があるか等)、全国のアメダスにおける地表付近の風・温度・雨量のデータ、ウインドプロファイラによる上空の風のデータなどです。

この観測データを物理法則に代入することによって、未来の状況を計算するわけです。物理法則は基本的には「最初の値が分かれば未来が計算できる」という方程式になっています。

数値計算に用いる空間の解像度(何km刻みで計算するか)は目的に応じていろいろあります。気象庁のページで解説を読むことができます(ちょっと難しいですけど・・・)。

この記事を書いている2017年現在では一番細かいのは「2km刻み」となっています。この計算(局地モデルといいます)によって「数時間後にどこでどんな雨が降るか」などが予測できるので、計算結果に基づいて防災気象情報が発令されたりします。

週間天気予報に使うモデルは40km~55km刻みだそうです。これは「全球アンサンブル予報システム」というものです。全球というのは「地球全体」という意味だと思います。もっと大きな110km刻みの計算は「季節アンサンブル予報システム」といって、3ヶ月予報などに用います。

当たり前かもしれませんが、細かく区切って計算すれば「いつ・どこで・どのような天気になるか」ということが詳しく分かり、大きく区切れば大まかな結果が分かるということですね。

コンピューターの予測はだんだん変わってくる

皆さんも経験があると思いますが、天気予報ってだんだん変わっていきますよね。

月曜日に天気予報を見て「週末は何とか晴れそうだ!」と思っていたら、金曜には「明日は雨でしょう」という風に予報が変わってしまっていた・・・ということは時々起こります。

これは仕方ないことなんです。先ほど「物理法則は未来を計算できる」という風に書きましたが、これはある時点での観測値が全く誤差なく完璧に定まっている場合に成り立つことで、実際には観測値には誤差がありますから、誤差の範囲内で未来も狂ってきます。

でも、気象予報にはもっと根本的な問題があります。それは「カオス」という問題です。

「カオス」とは「混沌」とも言いますが、結構いろんな意味で使われますよね。単純に「整頓されていない」とか「ゴチャゴチャで訳が分からない」というような意味にも使われますし、ギリシャ神話に登場する神の名前でもあるとか(とwikipediaに書いてありました)。

ただ、ここでいう「カオス」はそれらとは少し違う物理用語です。意味は「初期値がわずかに異なるだけで、結果が予測不可能なほど大きくずれる」ということです。例えば次の図は気象庁から拝借してきましたが、気温の数値予報をした結果のグラフです。

出典:気象庁ホームページ
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kisetsu_riyou/method/ensemble.html

このグラフの色の付いた線は、「ほんの少し初期値をずらして得られた計算結果」です。黒い線はこれら色線の平均値を表しています。これで分かるように、初期値(物理法則に代入する最初の値)が少し違うだけで、その先の計算結果はとてつもなく違ってくるのです。ということは、仮に将来的に誤差の非常に小さい観測データが得られるようになったとしても、そのわずかな誤差が結局は予測結果においては大きな差につながるということです。

人間は予測結果の意味を理解できる

このように気象予報は基本的にはコンピューターが行うわけですし、出てきた結果を「くもりのち雨」などの天気予報用語に変換するのもコンピューターで行うそうなので(と「図解・気象学入門」に書いてありました)、そうなってくると人間の意味とは?と思ってしまいますね。

気象庁などに勤務して職業として気象予報をしている場合は、人間の仕事は「注意報を発するかどうか」とか「なぜこんな天気になっているのかを分かりやすく解説する」ということが主なんでしょうかね。詳しくは分かりませんが、そんな気がしてきます。ちなみに「警報」というものは気象庁からしか発してはいけないことになっています。台風の進路についても、広く一般に発信してよいのは気象庁だけです。

となると、気象予報の仕事に就いていない気象予報士には何ができるでしょうか?

残念ながら、気象予報に関しては「何もできない」というのが実情だと思います。「残念」というよりも、それだけ高度で影響の大きい情報なのだから、無理に何かをしようとしない方がよいということです。

ただ、「週末は台風の影響で雨になるでしょう」という天気予報を見たときに、「なぜ雨が降るのか」ということを調べて理解する能力は、普通の人よりは高いのではないかと思います。例えばハルもときどき読ませてもらっている気象予報士のKasayanさんは、あちこちからデータを集めてきてそれを読み解いて解説してくれています。例えば今回の台風の記事はこれなど。こういった形で地元の防災活動に役立つとかいうことはできそうです。

まとめ!

気象予報は基本的にはコンピューターで数値計算をして行うものなので、予報そのものに人間の入り込む余地はないらしい!気象予報を仕事にしていない気象予報士は、「そんな天気予報になる意味」を読み解き、周りの人に教えてあげるぐらいはできる!

といっても、ハルはペーパー気象予報士なのでそんなこともできません!(爆)

ブログを書きながら少しでもそういう力がつけばいいなと思います。

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