台風19号はすごく強いがカテゴリー6というのは煽りすぎだと思う

ペーパー気象予報士のハルです。週末は台風19号(ハギビス)が関東に上陸する見込みということで、様々なメディアで備えが呼びかけられています。

少し前には千葉で大規模な被害がありましたから、しっかり備えておくことは重要と思います。具体的には、5~7日程度の停電と断水、それと店頭から食料が消えることに対して耐えうる備蓄です。

ですがどうも一部のネット記事やtwitterなどでは「今回の台風は史上最強で、現在のカテゴリー5というレベルには収まらないカテゴリー6だ」などと煽るような話が出始めているようです。

ただ私が調べてみたところではこれはちょっと煽りすぎで、冷静さを欠いた話だと思いましたので、ここに私の意見を書いておきます。もちろん反対意見があればぜひ聞きたいのでコメント欄にお願いします。

(冒頭の画像はDavid MarkによるPixabayからの画像)



そもそもカテゴリーとは

こういうものはググってみればいいのですが、分かりやすくまとめている「デジタル台風」さんより引用させて頂きます。

米軍合同台風警報センター(JTWC)など米国の気象機関では、最大風速(1分平均)に基づきtyphoon(またはhurricane)強度以上の熱帯低気圧を分類する、サファ・シンプソン・スケール(Saffir-Simpson Scale)を用いています。

カテゴリー1 = 119-153km/h (64-82kt)

カテゴリー2 = 154-177km/h (83-95kt)

カテゴリー3 = 178-209km/h (96-113kt)

カテゴリー4 = 210-249km/h (114-135kt)

カテゴリー5 = 250km/h – (136kt-)

出典: http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/help/unit.html.ja

一部報道に出てきている「スーパー台風 (super typhoon)」という呼び方は「130ノット以上の最大風速を持つ台風」のことだそうですが、カテゴリー4の上限が135ノットなので、「ほぼカテゴリー5」をスーパー台風と呼ぶのだと思って良さそうです。

台風19号は?

この記事を書きながら気象庁のサイトで最新情報を見てみますと、

<10日21時の実況>

最大瞬間風速 70m/s (140kt)

となっています。瞬間風速ですので、先ほど述べたカテゴリー分けと直接の比較はできないと思いますが、一応数字だけ見るとぎりぎりカテゴリー5に入っていますね。

ただ、カテゴリー5のはじまりが136ktですから、140ktはカテゴリー6を新設するほどの値ではないような気がします。ちなみにその後の予報を見ても、今より風速が上がる予報にはなっていません。むしろ徐々に風速は遅くなるという予報です。

遅くなるから安全ですと言っているのではありません。この数字は十分強く、台風の通過コースからしても非常に警戒を要するとは思います。ですが「カテゴリー6」などといって煽ることに対して懸念を覚えたのでこの記事を書いています。

カテゴリー6というのはどこから出たのか

リンクは貼りませんが、

米国内の気象専門家からは「存在しない6に相当する」という意見もではじめているとのことです。

というような情報を提供するサイトがあります。これを見たtwitterユーザーが「カテゴリー6!史上最強!」ということを拡散しつつあるような。しかし上に書いたとおり、最新の数値や予報を見てもそれほどでもない。ではカテゴリー6という話はどこから出てきたのでしょう。

私がちょっと検索したところでは、ワシントンポストの次の記事が出所ではないかと思います。

From tropical storm to Category 5 in 18 hours: Super Typhoon Hagibis intensifies at one of the fastest rates on record

記事のタイトル(意訳)は「熱帯低気圧からカテゴリー5になるまでに18時間: スーパー台風ハギビスは史上最速級のスピードで成長している」といったところでしょうか。タイトルを見てもカテゴリー5となっています。

この記事を下まで読んでいるとこういう箇所があります。ここで初めて「カテゴリー6」というのが出てきます。というかここだけです。

Another study, published last year, found that with continued global warming, more tropical cyclones will undergo rapid intensification than had done so before. It also found, using a climate model capable of simulating these massive storms amid changing atmospheric and oceanic conditions, that future storms could be so intense that a new category – Category 6, might be required to describe their intensity.

google翻訳に活躍してもらいつつ訳してみますと

「昨年発表された別の研究では、地球温暖化が続くと、以前よりも多くの熱帯低気圧が急速に激化することがわかりました。 また、大気および海洋条件の変化の中でこれらの大規模な嵐をシミュレートできる気候モデルを使用して、以下のことを発見しました: 未来の台風は非常に強いため、その強さを表現するために新しいカテゴリー – カテゴリー6 – が必要となるかもしれない」

といったところですね。要するに今回の台風19号ではなくて、将来的にはカテゴリー5では不足するような強い台風が誕生するかも知れない、という研究結果が発表されているということです。

ここでNASAの発表を見てみましょう。

Super Typhoon Tagibis

この文中でも「Hagibis grew from a tropical storm to a category 5 typhoon.」と出てきますが、その後に次のように書かれています。

The storm’s sustained winds had decreased slightly to 250 kilometers (155 miles) per hour, making it the equivalent of a category 4 storm on the Saffir-Simpson wind scale.

またまたgoogle翻訳に活躍してもらいますと、

「嵐の持続風は1時間あたり250キロメートル(155マイル)にわずかに減少し、サファ・シンプソン風スケールのカテゴリー4の嵐に相当しました」

ということです。ちょうどカテゴリー4と5の境目ぐらいの数値かなという印象です。

このように、台風19号は恐らく「カテゴリー5の下限に近い風速を持った台風」というのが冷静な判断ではなかろうかと思いますが、皆さんいかがでしょうか。

備えは絶対必要

繰り返しますが、台風19号はショボイと言っているわけではなく、5までしかないカテゴリーの5!なわけですから、強いのです。千葉県で猛威を振るった台風15号はピーク時の強さが85kt(10分間平均)だそうですが、今回の台風19号は105kt(同)となっています(出典はwikipedia「2019年の台風」)。

コースもよろしくありませんし、報道によると雨もかなり降る見込みだとか。ですので十分な備えが必要です。5~7日程度、家から出なくても生活できるぐらいにしておくのが良いのではないでしょうか。以前以下のような記事を書きましたが、皆さんこのような備えはできていますか?事前に十分備えておいて、台風が近づいてきたら冷静に情報収集をして行動をする、という気持ちが大切ではないかと思います。

災害初期の7日間、他人に頼らずに生きていけるだけの備蓄を持っておきましょう。私が備蓄しているもの(一部は予定)をご紹介します。