雲の中では何が起こっているのか?複雑な物理過程をキャラクターの性格で示してくれる本!

ペーパー気象予報士のハルです。

先日ご紹介した「気象予報士受験者応援団」の掲示板を読んでいると、ある気象予報士の方がたくさんの書籍を紹介されていました。学科一般・学科専門・実技向けの本をそれぞれ初級・中級・上級に分けて分類されています。こちらの投稿です。

ちょっと量が膨大でして、学科一般で10冊・学科専門で5冊・実技で10冊が紹介されています(汗)。これ全部を読まないといけないという意味ではなくて、この分類を参考に自分で選んでくださいという意味なのですが。

ハルが今まで紹介してきた本の中では「身につく気象の原理」が学科一般の初級として紹介されています。また「一般気象学」が学科一般の上級となっています。

そんなわけで、今回は学科一般の中級に入っている本「雲の中では何が起こっているのか(荒木健太郎著・ベレ出版)」をご紹介してみたいと思います。



メディアでよく見かけるあの荒木さん

著者名を見ただけでオッと思いませんでしたか?気象関係のニュースなどで見かけたことがあるような。ハルの周りの人も「気象の荒木健太郎さん」と言うと「ああ、あの人」とすぐ分かることが多いみたいです。気象庁の研究官で雲研究者の荒木さんです。

例えば2017年4月にNHKで、SNSを利用した雪の結晶の研究について話されているのがこちら(NHK公式)にまとまっています。

また荒木さんといえばtwitterで、日々の雲や大雨などについて精力的に情報発信をされているのもよく知られていると思います。

雲が虹色に染まっている写真とか・・・

「天空の城ラピュタ」に登場する「竜の巣」を気象学の観点から解説した投稿とかですね・・・(この情熱すごい)

どんな本なのか?

さて本の紹介です。「雲の中では何が起こっているのか」は、タイトルの通り雲に関する話に特化していますので、気象予報士試験の全ての範囲を均等に網羅しているわけではありません。範囲という意味では、この本は「一般気象学」の一部を取り出して詳しく述べている本だと言えます。

ただ、厚みは「一般気象学」よりちょっと厚いですね。それだけ詳しく書かれているということです。

読み始めると最初に「本書の登場人物」というページがあります。気象なのに人物です。パーセルくん、クラウドン、トラフくん、たつのすけなど、雲に関連する要素が擬人化されて出てくるということが予告されています。こういうのは好き嫌いが分かれるかもしれませんが・・・。

そして読み進めていくと、気象現象の物理的な意味と、前述のキャラクターの性格をうまく絡めた説明が展開されていきます。例えば「パーセルくん」というのは水蒸気を含んだ空気のことなのですが、次のようなキャラクターとして紹介されています。

  • パーセルくんは呑み(笑)が好き。水蒸気をどんどん飲んでいきます。
  • 水蒸気を飲むとパーセルくんの「水蒸気ゲージ」がたまっていきます。これが満タンになる前は「未飽和」です。
  • 水蒸気ゲージがちょうど満タンになるとパーセルくんは満足して、それ以上水蒸気を飲めなくなります。飲んでもゲップで外に出すので、水蒸気ゲージは増えません。これが「飽和」という状態です。
  • しかしパーセルくんはまわりに強要されたりしてゲージ満タン以上に水蒸気を含んでしまうことがあります。これは「過飽和」といいます。このときパーセルくんは少しの刺激で水を溢れさせてしまいます。

このような設定で、イラストと説明がなかなかマッチしていて面白いです。飽和状態のパーセルくんが「ゲフー」とゲップをしている様子とか、過飽和のパーセルくんが今にも吐きそうな様子が、実際の物理的な過程とうまくかみ合っているなと感じます。

あるいは、気象学のややこしポイント(だとハルが思っている)の「温帯低気圧の発達」という項目については、「温低ちゃん」と「トラフくん」というキャラクターでざっくり説明しています。こんな具合です。

出典:雲の中では何が起こっているのか p.60

この図だけ見ると、もしかして内容の乏しいマンガ的な本なのでは?と思われそうなのですが、本文の説明はきちんとしているんですね。先ほども書きましたが、キャラクターと物理過程がうまくかみ合っているんです。

比較対象として「一般気象学」の同じ内容の図をどうぞ。これが一般的な図だと思います。

出典:一般気象学第2版 p.183

勉強する立場からすると、この温帯低気圧の部分はどっちにしても結論を覚えないといけないところなので、キャラクターの性格になじむことが出来るのならキャラクターで覚えていくと楽しいしラクだと感じます。

ちなみに内容のレベルについては、「一般気象学」ほどではないかもしれませんが十分に高度な内容が書かれていると思います。むしろ「一般気象学」ではページを割けていない部分にたっぷりページを使って、詳しくなっているところもあるように思います。

こんな人にオススメ!

気象現象にある程度なじみがあるか、または1冊ぐらい簡単な本を読んで勉強を始めた人の2冊目としていいんじゃないかと思います。内容がわりと高度なので、予備知識が全くないとちょっと辛いような気がします。

また、「一般気象学」を読んでみたけど難しく感じて内容が頭に入らない・・・という場合にもいいかもしれません。同じ内容を「キャラクターの性格」というものを使って代弁させているので、なじめれば頭にスッと入ります。

逆に「一般気象学」を読んだら一応分かった・・・という人にとっては、ちょっとまだるっこしく感じるかもしれません。この辺は人それぞれでしょうから、可能ならば立ち読みなどしてから購入したいところですね。

なお、アマゾンに行くと大量のレビューがついています。そんなに売れているんでしょうか?ぜひこれらのレビューも参考にしてみてください。

この本を中級とすれば、初級が「身につく気象の原理」、上級が「一般気象学」ということになりそうです。関連記事はそれぞれ以下の通りです。

気象予報士試験の勉強を始めるぞ!と思っても、やっぱり迷うのが最初の1冊。ハルはこの本をオススメします!いきなりレベルの高い本を読む前の「転ばぬ先の杖」です。
検索すると「バイブル」とも「不要」とも言われる本「一般気象学」。一体どういう本なのでしょうか。ハルの意見としては「理系の人はぜひチャレンジしてみてほしい、文系の人はちょっとつらいかも」です。

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