お天気の科学は「お天気」という軽さと「科学」という重さが同居した本!

ペーパー気象予報士のハルです。

先日見つけた「気象予報士受験者応援団」の掲示板の投稿で、初級「身につく気象の原理」と上級「一般気象学」の間に位置する中級の本として「雲の中では何が起こっているのか」が紹介されており、当ブログでも記事にしました。今回ご紹介する「お天気の科学(小倉義光著・森北出版)」も同様に中級に位置づけられています。

「お天気」という気軽なフレーズと「科学」という物々しいワードが並んでいる奇妙な本なのですが、果たしてどっちに転がっていくのでしょう!



著者は「一般気象学」と同じ人!

著者名を見ただけでアッと思いましたよね?

小倉義光先生は「一般気象学」の著者であらせられるぞ!頭が高(ry

そうなんです、気象予報士試験を目指す人のバイブルとも呼ばれる「一般気象学」の著者。そんな大先生が「お天気」という庶民的なネタで一体どのようなお話をしてくださるのでしょうか。そういえば本書のサブタイトルは「気象災害から身を守るために」となっていますが。

「まえがき」を読み始めてみますと、最初に次のようにあります。

この本は横組みにしてあるが、教科書ではない。日々のお天気の移り変わりや天気予報に、多少なりと興味や関心がある一般の読者を対象にした気象の教養書である。しかし、俳句などを引用しながら、詩情豊かに四季の風のそよぎや雲のたたずまい、陽光のうつろいや雨のあしあとを描こうとした本ではない。天気図の見かた書きかたを教えるノウハウものでもない。

いきなり格調高くて引いてしまいそうになりますが・・・ないないばかりで結局どういう本なのかと思いますが、「お天気」はそれだけ色々な期待感を持たせるワードだということでしょうね。

もう少し読み進めてみるとこうなっています。

気象衛星「ひまわり」や高層気象観測や気象レーダーやアメダスなどで得られる情報を総合して、お天気が移り変わるとき、大気中で何が起こっているのか、また、どうしてそうなるのかということを、ゆっくり物語るのがこの本である。いわば、この本は天気予報を支える科学の読み物である。

つまりブルーバックスなどと同様に、科学的切り口でお天気を語ってくれる本ということでしょうか。さらに前書きは続きます。

そこで話題の中心を、暴風・大雨・集中豪雨・豪雪・雷雨・竜巻・マイクロバースト・乱気流など、人命をおびやかす気象におく。荒れ狂う大気を静める手段を私たちはまだもたないが、それと上手につき合い、被害を最小限にする手段はあるはずである。どうすればいいのか。こうしたことが本書の副テーマである。

つまり小雨であったり晴天であったり、人命に影響しない気象現象については述べませんということですね。台風はどうなんだろうと思いましたが、ほぼラストの11章が「台風」という章になっていました。

以上のようなまえがきからして、気象学の中で強い風雨に関するパートを抜き出して、科学的な切り口でありながら一般向けにある程度やさしく解説してくれる本・・・という狙いなのだろうなと思いました。

「一般気象学」より確かに易しい

しばらく読んでみますと、確かに「一般気象学」より易しく書かれているなと思う箇所がいくつもありました。

例えば次の図は、温帯低気圧が成長しつつある様子を表す立体図です。情報量がとても多い図なのですが、例えば以下のようなことが分かります。

出典: お天気の科学 p.72

  • 地上の低気圧から上空に向かって低圧部分が西に傾いていて、上空の気圧の谷(周囲より気圧が低い部分)につながっている
  • 低気圧から上空に向かって風が吹いている(上昇気流)
  • 低気圧から上がってきた空気は南西の風に乗って上空を流れ、地上の高気圧に向かって降りていく

これでも難しく感じるかもしれませんが、もともと気象という現象は時間的にも空間的にも連続しているものなので、把握するのが難しいんですよね。図に書き表すということは時間を止めるということですから、このように立体的な図に表すことは必須と言えるでしょう。

だいたい同じ内容を表している(多分・・・)図が「一般気象学」にもありました。

出典: 一般気象学第2版 p.184

こ、これは・・・。断面図なので立体図よりも情報量は落ちるのが普通ですが、等圧面や対流圏界面が描かれているのでその点ではこちらの図の方が情報量が多いですね。そのぶんヤヤコシーく感じますが・・・。また、上昇・下降する空気の流れをたくさんの矢印で書いてあるのも、情報量は多いのですがややこしく感じる要因かなと思います。

一方で、ほぼ同じ図が登場する箇所も結構あります。

出典: お天気の科学 p.113

出典: 一般気象学第2版 p.213

とはいっても、本文の説明は「一般気象学」の方がやはり詳しいというか、様々な知識を前提とした説明になっています。

確かに教養書・・・かなぁ

全部を読み込んだわけではないのですが、いくつかのトピックについて読み比べてみた感想としては、確かに「教養書」というネーミングがしっくりきます。

気象の範囲の一部だけがクローズアップされているので、教科書というわけではないですね。また、説明の仕方も「原理原則から積み上げていって現象を説明する」という風にはなっていなくて、どんどん結論を提示するような形になっていますので、そういった点も教科書的ではないと思います。

こういった特徴をどう評価するかですね。気象予報士試験に合格することだけを考えるなら、必須というわけではないとハルは思います。ただ、「一般気象学」を読んでいてもどうも難しくてしっくり来ない箇所がある・・・という人にとっては、同じ著者がより分かりやすく書いてくれているこの「お天気の科学」はオススメとも言えます。もちろん、気象やお天気に興味があって、試験に合格すること以上の目的意識がある人には大いにオススメできますね。

もう少し易しめに書かれた類似の本としては「図解 気象学入門」もオススメです。こちらはもう少し幅広い範囲について易しく説明された本です。

関連記事です。

勉強の初級は「身につく気象の原理」

気象予報士試験の勉強を始めるぞ!と思っても、やっぱり迷うのが最初の1冊。ハルはこの本をオススメします!いきなりレベルの高い本を読む前の「転ばぬ先の杖」です。

同じく初級(個人的には勉強を始める前がいいかな)の「図解 気象学入門」

「気象学の全体的な雰囲気をつかむ本」のお勧めです。気象予報士試験の勉強をするとしたら、何から手を付けたらいいのか?と迷う人向けの最初の1冊として!

中級は「雲の中では何が起こっているのか」

気象現象の中でも雲に特化した本・・・なのですが、気になる気象現象はほとんど雲と関連していますので、これ1冊でかなりの勉強量になります。難しい気象の勉強がスッと頭に入ってくる工夫、それは「キャラクターの性格」にありました。

上級は「一般気象学」です。

検索すると「バイブル」とも「不要」とも言われる本「一般気象学」。一体どういう本なのでしょうか。ハルの意見としては「理系の人はぜひチャレンジしてみてほしい、文系の人はちょっとつらいかも」です。

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