まず基礎を完璧にしよう!という拷問もしくは妄言

先日書いたこちらの記事と大いに関連しますが、、勉強が上達しない人って「基礎」を疎かにしているというか、「基礎とは何であるか」ということを間違って認識しているのではないかと思ったのでちょっと書いてみます。

ペーパー気象予報士のハルです。 勉強法についていろいろ考えたり本を読んだりしているうちにふと気になったことがあります。 ...



「まず基礎を完璧にする」って気楽に言うけど

これは私の思い出なのですが、確か高校生の頃に数学の不得意な友人がこんなことを言っていました。

「夏休みは数学の勉強を頑張る。まず基礎を完璧にして、それから~~」

そのとき私は漠然と違和感を覚えたと思うのですが、何に対する違和感なのか当時はよく分かりませんでした。

今は分かります。「基礎を完璧にする」ということの扱いがあまりに軽いのです。その友人は数学の成績が悪く、日常の発言を聞いても数学の内容を理解しているとはとても思えない。テスト前になると慌てて問題集を解き、「なあなあ、この○○っていうのが出てきたら※※の公式を使えばいいの?」というような質問をしてくる。そんな奴なんです。

そんな奴(親しみを込めた呼称です)が「まず基礎を完璧にする」とは・・・?

そいつの詳しい勉強計画は聞きそびれましたが、夏休みが終わってからも当然成績が上向くはずもなく、後はお察しくださいですよ。

あくまで想像ですが、「基礎を完璧にする」というのは、具体的な行動としては

  1. 教科書の公式を見て一時的に記憶する
  2. その公式を使えば解けるような例題を解く
  3. その公式を使えば解けるような問題集の「基本問題」を解く
  4. 答えが間違っていたら解説を読み、理解する
  5. 最後まで行ったら、もう一度間違った問題を解く。全問正解するまでこのプロセスを繰り返す。

こんなところだろうと思います。まあ高校生が思いつく学習法なんてこんなものでしょう。こんな学習法で何が完璧になるのでしょうか?

単に狭い単元の典型的な問題を条件反射で解けるようになるだけ

当時の自分には分かりませんでしたが、今なら想像できます。前述の勉強法では「狭い単元の典型的な問題を条件反射で解けるようになるだけ」だと思います。

まず、数学が不得意または嫌いな人は、おそらく最初の「公式を一時的に記憶する」という段階で「その公式はどういう意味なのか」「なぜそんな公式が成り立つのか」ということをほとんど考えることなく、いきなり記号で覚えてしまうのではないかと思います。例えば私が今でも覚えている印象深い公式に、三角形の面積を求めるために内接円の半径を用いる公式というのがあります。

公式:

三角形の3辺の長さを\(a, b, c\)として、内接円の半径を\(r\)とすると、

$$ 面積 S = \frac{1}{2}r(a+b+c)$$

これって意味は簡単です。次の図のような△ABCと内心Oを考えます。

画像出典:
https://juken-mikata.net/how-to/mathematics/inscribed-circle-radius.html

そうすると、△ABCが3つの小さな三角形に分けられますが、それぞれの面積は当然、

$$△\textrm{BCO} = \frac{1}{2}ar$$
$$△\textrm{CAO} = \frac{1}{2}br$$
$$△\textrm{ABO} = \frac{1}{2}cr$$

となりますね(底辺×高さ÷2です)。この3つの三角形の面積を足すと\(S\)になりますから、

$$ S = \frac{1}{2}ar + \frac{1}{2}br + \frac{1}{2}cr$$

となります。共通因数である\(\frac{r}{2}\)でくくると「公式」が導かれますね。私はこのように理解した後で覚えたと思いますし、だからこそ社会人になった今でもふとこうして思い出せたりするんだと思います。

この「公式」を最終的には記号的に暗記するのだとしても、最初はこのように理解するという段階が必要なんじゃないかと私は思うのですが、数学が苦手(または嫌い)な人ってここを飛ばしますよね。

「本当は理解しないといけないんだけど、今は時間がないから覚える」とかいう風に思っているのならまだしも、数学嫌いの人を見ていると「数学というのは、公式を記号で覚えてその文字の中に問題文の中から数値を当てはめるという科目だ」という風に思っているように見えるんですよ。

だから「エスイコールにぶんのアールエータスビータスシー」という風に覚えたりする。そんな風に覚えると、問題に外接円の半径\(R\)が登場したりしたらもうパニックですよ。アールは内接円?外接円?覚えられない!とかいう風になるわけです。

そんな状態で「その公式を使えば解けるような例題を解く」というステップに進むとどうなるでしょうか?

・・・解けるんですよこれが!

不思議ですね?いやいや不思議ではありません。教科書にしろ問題集にしろ、何かの公式が出てきた直後には「それを使えば解ける問題」が配置されているのが普通ですから、何も考えずに「さっき覚えたエスイコールの公式の文字に、問題文から数値を当てはめる」という姿勢でも正解が出るわけです。

もちろん「エスイコール」でも覚え間違っていたら不正解になるわけですから、正しく覚える練習としては機能すると思いますよ。でもこのステップをクリアできたからといって何かを理解したことになるでしょうか?私のように「理解」したあとでこのステップに来たならいいのかもしれませんが、「エスイコール」方式で丸暗記した人にとっては、単に「謎の文字列を1つ覚えた」ということに過ぎないですよね。

このまま先に進むとどうなるか

この「エスイコール」方式でさらに先に進むとどうなるでしょうか。問題集の少し先のレベルの問題は、1つの公式だけでは解けないように、様々な要素が散りばめられていることでしょう。そのような問題を解いてみる。解けない。そして解説を読む。するとどうなるかというと・・・。

「ああそうか、さっきの公式とは別の※※の公式を使えばいいのか」

と分かる。だからもう一度問題を見ると解けるようになるわけです。

さて、これは何かを分かったことになるのでしょうか?解説に「※※の公式を使いなさい」と書いてあるから使おうと思ったわけですよね?でも実際のテストでは誰もそんなアドバイスをしてくれませんよ?どうするんでしょうね。

ただ不幸なことに、学校の定期テストって結構このぐらいのレベルでも平均以上取れたりしますよね(少なくとも私が通っていた高校だとそうでした)。そして、ここがそもそも問題なのですが、生徒としては「学校のテストで出された問題がそこそこ解けたから自分はこの単元はできたと思ってよい」と判断してしまうわけです。実際は「エスイコール」という文字列暗記と、「ここから出るぞ~」と言われた範囲の問題を繰り返すことによって条件反射的に問題が解けるようになっているだけにも関わらず、「テスト問題が解けた」ということを「理解した」と勘違いしてしまうわけです。

定期テストならともかく、例えば大学入試とかになると範囲も広いですし、毎年新しい問題も作られていくわけですから、こんなうろ覚えの方法が通用するわけないですよね。ですから何らかの理由で「定期テストで点だけ取れればよい」という人は上記のような勉強方法でもいいと思いますが、そうでない人は「点が取れたとしても理解できているとは限らない」「理解した上で点を取らないといけない」ということを心に留めて勉強しないといけないのではないでしょうか。

こう考えると、「定期テスト」というシステム自体に問題があるのかなという気もしてきましたが、そういうことをぼやいても社会制度は変わりませんから、勉強する各自で自衛しないといけませんね。

結局「基礎を完璧にする」って何なのか

冒頭に挙げた友人の「基礎を完璧にする」という言葉が、実際には非常に奥が深くて実行が難しいことなのだということを述べてきました。

結局「基礎を完璧にする」とは、本当は「その内容を理解した上で、出題されたときに使えるようにする」ということなんだと思います。これを細かく分解すると

  1. 内容(公式)を理解する
  2. その公式を使いなさいという前提で出題された問題が解ける
  3. どの公式を使うか不明な状態で出題された問題も解ける

ということなんでしょう。もしかしたら3番は「基礎」ではなくて「応用」に入るのかもしれませんが。で、数学の苦手な人はしばしば1番をスッ飛ばして2番だけの練習をするから、正しい理解に結びつかない、その結果として「完璧」とは程遠い状態になってしまうのではないかなと思います。

「数学 完璧にする」でググってみると色んなサイトにヒットしますが、そのうちどれだけのサイトが「どうすれば完璧になれるのか」を書いているんでしょうね・・・。もちろん私のこの記事も「どうすれば」という部分にはほぼ触れていませんが。

でも一つだけ繰り返しておきたいのは

「問題が解けるからといって理解しているとは限らない」

という部分です。理解していなくても限られた出題範囲の問題であれば解けるようになることがあり、そのような解け方を放置していると、出題範囲の広い問題には対処できなくなる、ということを、勉強する人は本当によく注意した方がいいと思います。

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