あなたの勉強法はどこがいけないのか?

ペーパー気象予報士のハルです。暑い夏ですが皆さん元気に勉強してますか?

最近、仕事関係で資格試験に向けて勉強する機会があったので、ついでに色々な勉強法の本などを読みました。いかに今まで我流で勉強してきたのかを思い知りましたので、ちょっとずつブログにも書いていきたいと思います。

今日は「あなたの勉強法はどこがいけないのか?(西林克彦著)」です。



勉強ができるかどうかは認知心理学の守備範囲

著者の西林氏は、wikipediaによると「教育心理学者」であり、東工大の理工学部を卒業された後、東大大学院の教育学研究科で研究をされ、その後は宮城教育大学などで教鞭を執った方だそうです。

勉強というとどうしても科目の専門知識の質や量に意識が向きがちなのですが、この本は科目を問わず「どうすれば勉強した内容が身につくのか」ということを教えてくれる本です。私も今までそういうことは考えたことがあって、例えば復習についてはこちらの記事に自分なりの実践をまとめてあります。

勉強につきものの忘却。これに対抗するための復習についてちょっと考えてみました。

そういったことは実は「認知心理学」という範囲で研究が進んでいるらしく、しかも最近進んでいるというよりは昔からずっとそうなんだということでした。その割に私は「勉強ができるかどうか」ということについて心理学的な指導を受けた記憶がないのですが・・・。

本書の内容を少しご紹介

読みながらとったメモをいくつかご紹介します。本から抜粋したものではなく、私なりに解釈しながらメモをしていますことをご了承ください。

1. 「考え方」と呼ばれるものがあるが、それは「考えている状態」ではなく「考えた結果」だと心得てみよう。するとそれは「知識」と呼んでもいいのではないか。むしろきちんと「知識」であると認識する方がよい。

例えば数学の図形問題を解く際に、あざやかな補助線を引いてスラッと解ける人とそうでない人がいる。ここで「考え方が分からない」と悩むのではなく、単に「そこに補助線を引くと解けるという知識を吸収しよう」と考えればよい。本書ではこういうタイプの知識を「補助知識」と呼んで区別している。補助知識は教えられれば身につく。

2. いわゆる「応用力」にはこの補助知識が必要になるが、その補助知識を(習っていなくても)思いつくかどうかには生まれつきの差があるだろう。だからといって諦める必要はなく、自分で思いつかない補助知識は勉強して吸収すればよい。

そうしているうちに、自分の補助知識も豊かになり、増えた補助知識を使って自分でも「ひらめき」を得られるようになる可能性は大いにある。

3. 同じ科目でも、得意になるために必要な要素は年代によって異なる。本書で紹介されているのは英語の例だが、中学時代と高校時代では「英語の成績を支える要因」が異なることが分かっている。だから中学時代に英語が得意だったからといって、そのままの学習方法を続けて高校でも英語が得意になるとは限らない。

4. 機械的な暗記はきつく、説明があると楽。例えば「眠い男が水差しを持っていった」という事実を暗記しないといけない場合に、そのまま覚えようとしてもなかなか頭に入らない。しかし「眠い男がコーヒーメーカーに水を入れるために水差しを持っていった」という風に覚えると覚えやすい。

これは、勉強ができないからといって情報量を削りすぎるとかえってまずいということも表す!むしろ「意味」を理解するために情報量を増やした方がトータルでは頭に残りやすい!

特に本書の後半は、この4.を発展させて「知識を長持ちさせるには、1つ1つの知識を断片的に覚えるのではなく、互いに関連付けをさせながら使っていくとよい」という(要約です)ことが様々な事例を挙げながら丁寧に説明されています。学生にも社会人にも参考になることが非常に多いですね。

新しいことを学ぶのに勇気が出てくる

社会人になると、仕事の様々な局面で新しいことを学ぶ必要性が出てきます。気象予報士の勉強もそうですね。そんなとき、自分はどうもその分野が不得意なようだ・・・と感じて諦めそうになることって結構あると思います。

ですが本書の知恵を拝借すると、次のように考えるとよいと思います。

1. 不得意なのは知識が不足しているから。その知識は「コアとなる知識」と「補助知識」に分類されるだろう。これらの知識をまずはインプットしよう。得意な人と比べると自分は能力が足らないと落ち込んでしまうかもしれないが、インプットすれば追いつける可能性が十分ある。

2. 過去の成功体験に囚われすぎない。過去の成功に必要だった要素と、今取りかかっていることの成功に必要な要素は違うかもしれない。柔軟な気持ちで色々な人のアドバイスを受けてみてはどうだろうか。

3. たくさんの知識を仕入れないといけないときこそ、1つ1つの知識の意味を理解する、知識相互間の関連を理解する、できれば使ってみる、という一見回り道に思えるルートをたどる方が、将来的に長持ちする(しかも活用可能な)知識になる。

特に中高生の場合は(こんなブログを読んでいる中高生はあまりいないと思いますが)、あまり興味のない科目でもテストのために勉強しないといけないし、テストができなくても社会人のようにクビになったりしないので、どうしても知識の習得に関してはモチベーションが湧きにくいのではないかと思います。目先のテストで点さえ取れればいい!とばかりに、意味もなく丸暗記をしてテストに臨み、テストが済んだら全部忘れてしまうけどそれで構わない・・・と思ったりしていませんか?(私の同級生にはそういう人がたくさんいました・・・)

でも知識というのは本来、テストが済んだ後にも活用できるものなのです。例えば本書で例に挙げられている「三角関数の倍角の公式」というものがありますが、これは私の会社で仕事をするためには常識的に必要なものです。というか、高校の数学で学んだようなことはその後の勉強のベースになっていますから、どれもこれも必要なわけです。ですのであの高校時代にあった膨大な時間を思い出すと、その時間の多くを使って「テストが済んだら忘れてしまう知識の習得」に充てるのは本当にもったいないなと思います。

ちょっと最後話がそれてしまいましたが、ともかくこの「あなたの勉強法はどこがいけないのか?(西林克彦著)」は、勉強してもしても頭に残りにくい・・・と悩む人に大変おすすめです。いわゆる「勉強法」として流布されているものも、この本の内容と照合すると納得できるものが多いですよ。