地球の温度はどうやって決まる?加熱と冷却のバランスを考えると変な温度になった!

ペーパー気象予報士のハルです。

太陽定数の記事の最後にちょっと書きましたが、地球は太陽から温められるだけでなく、自ら冷えていっています。温められるだけだとどんどん温度が上がっていってしまいますが、温められる分だけ冷えていくから地球の温度は長い目で見るとだいたい一定になっているというわけですね。

こういったことも計算で求めることができるのが気象学の面白いところだと思いました。久しぶりに計算してみましたので、残しておきたいと思います。


地球に降り注ぐエネルギーの計算

まず温められる方から計算です。

地球の「太陽光に垂直な断面積1m2」あたりに1秒あたり降り注ぐエネルギーを太陽定数といって、

太陽定数 = 1370 W/m2

という値なのでした。

これに地球の断面積をかけ算すれば、1秒あたりのエネルギーを求めることができます。地球の半径は6370km程度ですので、このような計算になります。

1秒あたり地球に降り注ぐエネルギー
= 1370×π×(6370×103)2
= 1.75×1017 W

ただしこの一部は雲などで反射されて宇宙空間に戻っていきます。反射率のことをアルベドといいますが、地球のアルベドは30%程度だそうです。ですので地球に吸収されるエネルギーは70%で、次のようになりますね。有効数字はよく分かりませんが。

1秒あたり地球に吸収されるエネルギー
= 1.75×1017×0.7
= 1.2×1017 W … ①

このような割合で地球は温められているわけです。数字が大きすぎて、大きいのか小さいのかよく分かりませんね。

地球が放出するエネルギーの計算

地球も実は宇宙に向けてエネルギーを放出しています。「地球は惑星だから、太陽のような恒星とは違って自ら光ることはないのでは?」という知識が首をもたげてきますが、その知識とはちょっと切り口が違う話です。

「惑星は太陽のように自ら光らない」というのは、太陽のように「核融合反応をエネルギー源としてエネルギーを放出する」ということをしないという意味です。

核融合反応をしなくても、どのような物体もその表面温度に応じてエネルギーを放出しています(黒体放射という仕組みです)。一番分かりやすい例はサーモグラフィーの画像でしょうか。あれは人体から出ているエネルギー(赤外線)をキャッチして画像にしているわけです。つまり人体は赤外線という形でエネルギーを放出しているんですね。人体の表面温度(30℃ぐらい?)だと赤外線がたくさん出ます。太陽の表面温度(6000℃ぐらい)だと目に見える光(可視光線)がたくさん出ます。

この黒体放射のエネルギー量を計算する法則があります。「シュテファン・ボルツマンの法則」というものです。

1m2から1秒あたり放射されるエネルギー
= 5.67×10-8×T4 W/m2

というシンプルな式です。Tは表面温度を絶対温度(K:ケルビン)で表したもので、ふつうのセ氏温度に273を足した値です。例えば27℃であれば27+273=300Kとなります。

地表面の温度は場所によって違いますが、これを平均化してどこでも同じ温度だとしてTとおきます。すると1秒あたり地球の表面から放出されるエネルギーは次のような式で表されます。先ほどの式に地球の表面積をかければよいですね(地球の半径は6370kmを用います)。

1秒あたり地球が放出するエネルギー
= 5.67×10-8×T4×4×π×(6370×103)2
= 2.9×107×T4 W … ②

地表面の平均温度を求める!

①で求めて地球に吸収されるエネルギーと、②で求めた地球が放出するエネルギーは等しいでしょうか、等しくないでしょうか。もし等しくなくて仮に①の方が大きいとすれば、地球は年々暑くなっていくということになりますが、実際どうなっているのでしょう。大昔の温度は誰かが測って記録しているわけではないので、様々な方法で推測することしかできませんが、そういった推測を気候変動に関する政府間パネル(IPCC)という機関がまとめてくれたグラフがありました。

出典(pdf): http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar4/ipcc_ar4_wg1_ts_Jpn.pdf

p.38 図TS.20.

このグラフの線1本1本が、これまでになされてきた研究の1つ1つを表すようです。右端の方にある黒い線だけは推測値ではなくて実測値です。この図を見ると、1000年規模で考えると地球の温度はそんなに変わっていないようですね(一方的に上がったり下がったりはしていない)。

ちなみに「地球温暖化」と言われているのは(賛否両論あるようですが)、このグラフの右端のあたりのことです。この記事ではもっと長い目で見ているので、地球の温度はほぼ一定だったという風にみなします。

というわけで、①と②の値は等しい(地球は温められた分だけ冷えている)という風におくことにします。

1.2×1017 = 2.9×107×T4

ということは

T4 = 1.2×1017 ÷ (2.9×107)
= 0.41×1010
= 41×108

となります。あとは右辺の値を2回ルートすればTが出ますね。電卓で求めることができます。

T = 2.5×102 K

つまり250K、-23℃という値が出ました。あれ?思ってたより寒い(冷汗)。そんなに低い値だったかなと思って調べてみたのですが、計算は合っているみたいですね。例えば啓林館(教科書を作っている会社)のホームページにも同様の計算がありました。もっと文字式を使った洗練された方法ですが。

どうしてかな?と思って手元の本を調べてみると、なるほどここで出てくるのが「温室効果」なのですね~。これは書き始めると長くなりそうなのでまた今度にしますが、要するに大気や雲のおかげで「地表から放射されたエネルギー」が再び地表に戻ってくる(つまり地表が温め直される)という仕組みですね。「図解・気象学入門」や「身につく気象の原理」の説明が分かりやすかったです。

こうして勉強し直してみるといろいろ忘れていることに気づきます。

「気象学の全体的な雰囲気をつかむ本」のお勧めです。気象予報士試験の勉強をするとしたら、何から手を付けたらいいのか?と迷う人向けの最初の1冊として!
気象予報士試験の勉強を始めるぞ!と思っても、やっぱり迷うのが最初の1冊。ハルはこの本をオススメします!いきなりレベルの高い本を読む前の「転ばぬ先の杖」です。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ
ポチお願いします!